プロジェクトの概要
スマートシティはこだてプロジェクトでは、はこだて圏を対象として情報技術を有効に適用することにより、 街の様々な活動やサービスを有機的なシステムとして統合し、全体として住みやすい便利な街の構築することを目指しています。
これを実現するためには、観光地、飲食店、スーパーマーケット、ホテル、図書館など 街のあらゆる施設が連携した新たなサービスを生み出すことが求められますが、 まずは、それぞれの施設を線で結ぶ公共交通システムに着目しました。 具体的には、バスとタクシーを統合した新しい公共交通システムとして、Smart Access Vehicle (SAV) システムを提案しています。
SAVサービスは形態としてはデマンドバス(Demand Responsive Transportation : DRT)の一種ですが、特徴としては、
- 過疎地域ではなく都市全域(特に、函館市など中都市全域)を対象とすること
- 運行車両としていわゆるバス(定員 10 名以上)だけでなくタクシー(定員 9 名以下)も含むこと
- 事前予約ではなく、乗りたくなったときにSAVを呼び出すこと
などが挙げられます。
SAVシステムでは、SAV(車両)の配車をコンピュータで集中制御することにより、オペレータを介することなく、 すべて自動でシステムを運用できます※。 複数台リアルタイム完全自動配車は我々の知る限り、世界初です。 人手で配車を行う場合に比べると安価で実現できると期待できます。
※ 運用の際には、ユーザのためにサポートセンターなどの設置が必要な場合はあります。
また、我々が開発したタブレット端末対応アプリ、乗客用アプリをしようすることで、 SAV(車輌)にタブレット端末を搭載するだけでよく、 現在、普及しているスマートフォン(android版, iOS版)からSAVを呼び出すことができます。 これにより、普段は既存のシステム(タクシー配車システム、バスシステム)として使いながら、 ある特定の日だけ配車アルゴリズムを切り替えることでタクシーヤバスを SAV(車両) として運行するというような利用方法が可能です。 つまり、運行事業者らが運行の実態を見ながら徐々に SAV を導入することも可能です。
さらに、SAVシステムは、ユーザ(乗客)から見ると、
- バス停まで行かなくてよい
- 乗りたいときにすぐ乗れる
- 配車時に目的地までのおおよその時間がわかる
- 路線図を知らなくても利用可能(旅行先でも利用可能)である
- 停留所名ではなく目的地名で呼び出す
- バスの(に近い)値段でタクシーの(に近い)利便性を得られる
という利点があります。運行事業者からみると、
- (マイカーからの移行も見込まれ)乗客数が増加する
- 運転手や車両を効率的に運用できる
- 空バスや流しタクシーが軽減する
- (観光地やレストランとのコラボなど)付加サービスの可能性が広がる
という利点があります。行政から見ると、
- 住民サービスが向上する
- (初期投資は必要であるが、)継続的な税金の投入が不要である
- 公害削減、低酸素消費社会への一手段となりうる
- 観光客の呼び込みができる
であり、ユーザ、運行企業(バス、タクシー)、行政が Win-Win-Win の関係にあります。